【解説】地価で見る那珂川市│令和7年は住宅地が上昇、西鉄那珂川自動車営業所に注目(R7地価公示)

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【執筆・監修】不動産鑑定士 上銘 隆佑
上銘不動産鑑定士事務所 代表

福岡都市圏の南に位置する那珂川市。博多駅から電車一本、車でもアクセスしやすい立地にありながら、自然豊かな住環境を持つ街です。

ここ数年、ファミリー層を中心に「福岡市内に通いやすく、かつ、落ち着いて暮らせる場所」として人気が高まっており、地価も着実に上昇してきました。

特にコロナ禍以降、リモートワークが一般的になったことを受けて、「都心へのアクセス」と「住環境の豊かさ」を両立できるエリアへのニーズが一気に高まった背景があります。

今回は、不動産鑑定士の視点から、那珂川市の住宅地・商業地の地価動向やエリアごとの特徴、取引価格の傾向などについて詳しくご紹介していきます。

目次

那珂川市の住宅地地価動向

市街地エリアを中心に地価上昇が続く

那珂川市の住宅地の平均変動率は、令和7年+5.2%の上昇となりました。前年の4.9%と比べてもさらに上昇幅が広がっており、需要の根強さがうかがえます。

市街地エリアでは、新規の分譲地が少ないこともあり、販売される土地には高値がつきやすい傾向があります。加えて、小規模な開発素地でも取引価格が高騰しているため、全体的に土地取得競争が激しくなっています。

市街化調整区域でも価格上昇が進む

また、市街化調整区域にも変化が見られます。

これまで開発が制限されていた東隈地区(平成29年9月より緩和)や山田地区(令和4年3月より緩和)では、規制緩和をきっかけに不動産取引が活発になりました。これに伴い、これらのエリアでも地価が一気に跳ね上がっています。

市街化調整区域での価格高騰は、これまでの価格水準を大きく上回るものであり、「那珂川市の土地価格は全体として上昇局面にある」という印象をより一層強くしています。

中原・五郎丸エリアの需要が特に強い

JR博多駅へのアクセスに優れた中原1丁目~3丁目、五郎丸、今光、仲の一部といったエリアでは、特に住宅需要が強く、地価上昇率も市内平均を上回る動きとなっています。

「できるだけ福岡市に近い場所に住みたい」「でも手が届く価格帯で」というニーズが根強く、これらのエリアの人気は衰える気配がありません。

ただ、最近では建築費の高騰や、円安の影響による家計圧迫も出始めており、今後は若干の調整が入る可能性も考えられます。

肥前街道沿いの住宅エリアも底堅い

那珂川市の古い街道である肥前街道沿いの住宅地も、引き続き堅調な動きを見せています。こちらは主に車通勤を前提とした層に人気で、市内中心部と比べると割安感があることから、地価もじわじわと上昇しています。

この肥前街道背後の住宅地の安定した需要が、那珂川市全体の住宅地市場を下支えしている構図になっています。

那珂川市の商業地地価動向

地価公示では商業地の地点なし

那珂川市の商業地の地点はありません。

ただ、注目されるのが、道善地区に新たにオープンした「西鉄那珂川自動車営業所」です。

この施設の誕生により、周辺地域では土地区画整理事業が進められており、今後の那珂川市の発展をリードする存在になりそうです。

あかしや通り沿いの店舗稼働も良好

県道56号沿い、いわゆる「あかしや通り」エリアでも、商業施設の稼働状況は非常に良好です。

道善交差点から中原4丁目交差点にかけての区間、特に内田交差点~鷹取交差点の間では、飲食店やクリニック、小売店などが安定して営業を続けており、コロナ禍による退去事例はほとんど見られませんでした。

こうした安定した商業活動が、那珂川市全体の商業地地価を押し上げる要因になっています。

今後注目したいエリア

また、春日市との市境には大型スーパー「ロピア福岡白水店」が存し、周辺の生活利便性は良好です。

この影響もあり、那珂川市北部エリアの商業地にも今後じわじわと波及効果が出てくる可能性があります。

さらに、野多目I.C.にも近い立地のため、広域からの集客も期待できるエリアとなっており、那珂川市全体の商業ポテンシャルは今後ますます高まるでしょう。

那珂川市の今後の展望

博多南駅周辺の開発がカギ

那珂川市の中心駅となる「博多南」駅周辺については、まだまだ開発余地があると言われています。

新幹線の回送線を利用した在来線が乗り入れているこの駅は、利便性が高い割に地価は福岡市内中心部と比べると手ごろです。

今後、駅周辺に新たな住宅開発や商業施設の整備が進めば、さらに地価の上昇に拍車がかかる可能性もあります。

市街化調整区域の柔軟な活用

もう一つ注目したいのが、市街化調整区域の活用です。

先述した東隈地区や山田地区に続いて、他のエリアでも規制緩和が進めば、供給不足に悩む住宅市場への新たな供給源となり得ます。

とはいえ、市街化調整区域の開発には一定のハードルがあるため、地域全体のバランスを見ながら慎重に進める必要があるでしょう。

まとめ│住宅と商業、どちらも注目

那珂川市の地価動向をまとめると、住宅地・商業地ともに非常に堅調な上昇トレンドにあります。


福岡市中心部に近く、それでいて自然豊かな環境、さらに交通アクセスも良いという立地条件は、多くの人にとって非常に魅力的です。

この先も、中原・五郎丸エリアを中心とする住宅地の需要や、博多南駅周辺の開発進展、西鉄那珂川自動車営業所を中心とした商業地の発展など、注目ポイントはたくさんあります。

不動産鑑定士の立場から見ても、那珂川市は今後ますます存在感を高めていくエリアになるだろうと感じています。
これから那珂川市で不動産取引を考えている方は、ぜひ今回ご紹介した各エリアの動向にも注目してみてください。

個人的には、福岡市内の土地価格高騰により、周辺市町村である春日市、大野城市、那珂川市へ住宅需要が波及し、今後ますます発展すると考えています!なによりロピアが近いのがGOODです。


以上です。お読みいただき、ありがとうございました。
不動産鑑定士 上銘 隆佑

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