【解説】地価で見る宇美町│令和7年は住宅地、商業地ともに好調、昭和の森が近くて自然とふれ合える(R7地価公示)

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【執筆・監修】不動産鑑定士 上銘 隆佑
上銘不動産鑑定士事務所 代表

目次

糟屋郡宇美町の地価動向の概要

福岡都市圏のベッドタウンとして知られる糟屋郡宇美町。

令和7年の地価動向を見ると、住宅地・商業地ともに堅調な推移が続いています。

住宅地の平均変動率は+7.4%、商業地も+8.4%と、それぞれ前年に引き続き高い伸びを記録しました。

福岡市中心部から車で30分程度、九州自動車道「太宰府I.C.」にも近く、香椎線で博多方面にもアクセス可能という立地条件の良さに加え、自然豊かな環境も魅力。

近年では、昭和の森や昭和の森キャンプ場に代表されるアウトドア需要も後押しし、定住志向が高まってきています。

不動産鑑定士の視点から見ると、宇美町は「福岡市近郊でありながら割安感がある」「自然と都市機能のバランスが良い」という点が、引き続き評価されている状況です。

住宅地の動向と特徴

割安感が需要を支え、住宅地は堅調に推移

宇美町の住宅地は、福岡市内に比べて土地価格が抑えられていることが大きな魅力となっています。

福岡市内の人気エリアでは坪単価が50万円を超えることも珍しくないなか、宇美町では坪30万円以下で取得できる場所も多く、コストパフォーマンスを重視する層から根強い支持を受けています。

特に、戸建住宅志向のファミリー層に人気があり、広い敷地でゆったりと暮らしたいというニーズを叶えやすい地域といえます。

実際に、宇美町内では新築戸建分譲地の開発も進んでおり、供給と需要がバランスよく推移している印象です。

特定用途制限地域の指定で土地利用に秩序

令和6年10月には、町内の一部地域(約166ha)に特定用途制限地域の指定がなされました。

これにより、用途地域のない場所でも無秩序な市街地拡大を防ぎ、一定の土地利用のルールが設けられています。

この動きは「無秩序な市街化の抑制」に繋がります。具体的には、ホテルやオフィス等の建築が制限されます。

人口減少時代なので、コンパクトシティにして効率よく自治体運営を行う必要がありますね。

住宅需要は引き続き堅調ですが、町全体の街並みや環境を守りながら開発が進むため、将来的な資産価値の安定にもつながりやすいでしょう。

人気エリアと坪単価の目安

現在、宇美町内でとくに人気が高いのはJR宇美駅周辺や、幹線道路沿いで交通アクセスが良好なエリアです。

坪単価としては、駅周辺で20万円~30万円程度、郊外寄りの住宅地では15万円前後での取引が見られます。

駅近エリアでは、戸建だけでなくアパートや賃貸マンションの需要も増えており、今後も人口微減傾向を大きく押し下げることなく、安定した居住需要が続きそうです。

商業地の動向と特徴

宇美駅周辺を中心に堅調な商業地需要

商業地についても、宇美駅周辺を中心に堅調な需要が見られます。

JR宇美駅の2023年度一日あたり乗車人員は1838人、前年に比べて2.6%の増加となりました。駅利用者の回復傾向が続いていることは、周辺商業地の需要にもプラスに働いています。

駅周辺の商業地では、小規模な店舗やクリニック、サービス業などの進出が見られ、賃貸共同住宅と併設された複合開発も目立つようになっています。

幹線道路沿いの発展とトライアル出店

宇美町内を走る幹線道路沿い、特にスーパーセンタートライアル宇美店周辺では、商業施設の集積が進んでいます。

この一帯では、日用品・食品需要に対応する大型店舗がそろっており、町内外からも一定の集客力を持っています。

トライアル宇美店周辺の商業地地価も、坪単価で20万円~30万円程度と推察され、比較的堅調な取引が続いている様子です。

物流施設の進出動向

近年では、九州自動車道「太宰府I.C.」へのアクセスの良さを活かして、宇美町内でも物流施設の進出がじわじわ進んでいます。

とくに、昭和鉄工本社・宇美工場周辺などでは、産業系施設が立地しており、雇用創出や商業地需要にも間接的に貢献しています。

今後も物流関連施設が増えれば、周辺地価にじわりと上昇圧力がかかる可能性もあるため、要注目といえるでしょう。

宇美町の暮らしやすさの魅力

自然と共存できる環境

宇美町の大きな魅力の一つは、自然に恵まれた環境です。

昭和の森や昭和の森キャンプ場が近くにあり、休日にはバーベキューやトレッキング、キャンプを楽しむ家族連れでにぎわいます。自然とふれあいながらのびのびと暮らせる環境は、都市部にはない大きな価値といえるでしょう。

また、宇美八幡宮など歴史あるスポットもあり、地元の伝統文化を身近に感じることができます。

交通アクセスも便利

一方で、交通の利便性も大事です。

JR香椎線を使えば、博多駅方面へスムーズにアクセスできるほか、九州自動車道を利用すれば福岡市中心部へも車で30分程度と、都市圏との距離感もちょうどいい立地です。

通勤や通学にも便利なため、都市近郊で自然と便利さを両立させたい層に特に支持されています。

不動産鑑定士が見る今後の注目ポイント

賃貸住宅需要と地価上昇のバランス

宇美町では今後も賃貸住宅需要が堅調に続く見込みです。

とくに宇美駅周辺では、単身者や小家族向けの賃貸住宅開発が進んでおり、地価上昇にも一定の弾みがついています。

ただし、急激な地価上昇には注意が必要です。

特定用途制限地域の設定による秩序ある市街地形成が意識されていることから、過度な投機的取引は現状見られず、比較的健全な市場形成が続くものとみられます。

幹線道路沿いの商業地発展

また、幹線道路沿いの商業地発展も注目ポイントです。

トライアル周辺のさらなる開発動向や、物流施設誘致の進展が、周辺地価にどのように影響を与えるかは今後も注視していきたいところです。

地域の需要にマッチした施設が順調に増えれば、住民満足度も高まり、住宅地需要のさらなる底上げにもつながっていくでしょう。

まとめ

宇美町は、自然に恵まれながらも都市圏へのアクセスが良く、割安感のある不動産市場が形成されています。

令和7年時点では、住宅地・商業地ともに地価上昇が続いており、今後も堅調な推移が期待できそうです。

とくに、ファミリー層向けの戸建住宅需要、駅周辺の賃貸住宅需要、幹線道路沿いの商業需要という三つの柱がバランスよく機能している点は、宇美町の強みといえるでしょう。

これから宇美町で土地探しや不動産投資を検討される方は、昭和の森周辺の自然環境や、交通アクセス、商業施設の動向にも注目しながら、じっくりと選択肢を検討してみることをおすすめします。

個人的には、アウトドアに強い宇美町はこれから一定の人気になると考えています。
コロナ以降、子供の外出機会を増やしてあげたいという家族の話をよく聞くため、昭和の森の魅力がますます大きくなる予感です。


以上です。お読みいただき、ありがとうございました。
不動産鑑定士 上銘 隆佑

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