【解説】地価で見る春日市│令和7年は住宅地・商業地ともに好調。交通利便性や学校区の点でファミリー世帯から支持継続(R7地価公示)

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【執筆・監修】不動産鑑定士 上銘 隆佑
上銘不動産鑑定士事務所 代表

福岡都市圏において、子育て世帯やファミリー層に根強い人気を誇る春日市。
令和7年の地価公示では、住宅地・商業地ともに引き続き上昇基調が見られました。

本記事では、不動産鑑定士の視点から、春日市の住宅地・商業地の価格動向、需要の背景、そして地元の再開発や交通整備などが与える影響について、お伝えしていきます。


目次

住宅地の動向:安定した上昇を見せるファミリー層向けエリア

住宅地は全体としては堅調。平均変動率は+5.5%

令和7年の春日市における住宅地の平均変動率は+5.5%。

前年(令和6年)の+6.2%と比較するとやや上昇幅は縮小しましたが、それでも高水準を維持しています。

ここ数年の上昇傾向のなかで、「少し高止まりかな」といった声も聞かれ始めてはいますが、ファミリー層を中心とした根強い需要が地価を下支えしている状況です。

春日市の住宅地の魅力:交通・教育・生活利便が三拍子揃った立地

春日市の住宅地が支持される理由のひとつが、交通アクセスの良さ。

西鉄春日原駅やJR春日駅、JR博多南駅といった複数の駅が利用可能で、博多駅や天神方面への通勤も非常にスムーズです。

西鉄春日原駅は特急の停車駅に昇格しており、都市圏へのアクセスはさらに向上しました。

また、教育環境も安定しています。

市内には評判の良い小中学校が点在し、進学塾も多く存在しています。

特に春日市は「学校区が良いから引っ越してきた」という声がとても多い地域です。さらに、大型商業施設や医療機関などの生活インフラも充実しており、「住みやすさ」で選ばれる住宅地となっています。

戸建住宅は土地の小規模化が進行中。価格は3,000~4,000万円台が主流

新築の戸建住宅の売れ筋は、だいたい3,000万円〜5,000万円の価格帯です。

ただし、地価の上昇にともない、土地価格の高騰を受けてミニ開発による小規模な区画での建売が増えてきており、最近では4,000万円を超える物件も珍しくありません。

土地が小さくなっても価格が下がるとは限らない、というのが今の春日市のトレンドです。

また、西鉄の高架化や道路整備による渋滞緩和も、住宅エリアの利便性をさらに高めています。特に春日原駅周辺では、都市基盤整備が着実に進行しており、街並みも少しずつ洗練されてきた印象です。


商業地の動向:地価は9.0%上昇。都市近郊型ショッピングエリアとして定着

商業地は前年比+9.0%。安定した上昇トレンド

令和7年の商業地における平均変動率は+9.0%で、前年の+8.7%をわずかに上回る形となりました。

これまでの上昇傾向が一服するかと思われたなかでも、このように上昇幅が維持されている背景には、都市近郊型のショッピングエリアとしての安定感があります。

また、駅近の好立地では、商業地とマンション用地のニーズがバッティングすることも多く、そうしたエリアでは引き合いが非常に強い状況が続いています。

西鉄春日原駅周辺の整備と高架化による利便性向上

特急停車駅となった春日原駅は、再開発の進行とともに、駅前のにぎわいを取り戻しつつあります。

駅高架化による踏切の解消は交通渋滞の緩和につながり、生活導線のスムーズさが向上しました。これにより、駅周辺の地価は以前にも増して安定的に上昇しています。

商業地としての需要はもちろんですが、駅徒歩圏であればマンションデベロッパーの注目度も高く、取引価格は堅調に推移しています。

幹線道路沿いには多様な商業施設が展開。春日大通りが重要エリアに

春日市は市街地の広がりがコンパクトなぶん、幹線道路沿いに商業施設が分散して展開しています。

とくに春日大通り沿いには、「アクロスモール春日」を中心に日常使いできる店舗が集積しています。

また、「春日フォレストシティ」「ロピア福岡白水店」「ユニクロ春日フォレストシティ店」「若竹丸 春日店」などなど、大型商業施設のほか人気店舗の進出も活発で、周辺地域からの来客も見込める立地になっています。


再開発と将来展望:地価の上昇余地はまだある?

今後の課題は「供給の制約」と「価格上昇の抑制」

春日市の人気は非常に高い一方で、供給面には限界があります。

市域がコンパクトで、開発可能な土地が少ないため、特に戸建て住宅用地の供給はどうしても制限されます。このため、今後は小規模開発やマンション建設への移行がさらに進んでいくと考えられます。

一方で、価格が上昇しすぎるとファミリー層の手が届きにくくなるという側面もあるため、地域全体として「価格の安定」と「需要の維持」のバランスが求められる局面に差しかかっているとも言えます。

公共インフラや医療機関の整備もプラス材料

春日市には「福岡徳洲会病院」などの大規模な医療機関もあり、公共サービスの充実は今後の人口維持・定住促進においても大きな武器になります。

ファミリー層だけでなく、高齢世代にも優しいまちづくりが進むことで、今後も安定した住宅需要が見込まれると考えられます。


まとめ:春日市の地価は今後も堅調に推移か

令和7年の地価公示を見る限り、春日市は住宅地・商業地ともに非常に安定した上昇を見せています。

多少の上昇幅の調整はあるものの、交通利便性や学校区の魅力、そして生活利便施設の充実という三要素が、引き続きファミリー層の支持を集めている要因です。

供給制約や価格上昇の影響をどう乗り越えるかという点は、今後の課題とはなりますが、春日市は今後も福岡都市圏における「住みたい街」として、堅実な地価推移を見せていく可能性が高いと考えられます。

個人的にも春日市にはよく行く好きな街です。住宅需要も右肩上がりを予想しています。


以上です。お読みいただき、ありがとうございました。
不動産鑑定士 上銘 隆佑

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