
こんにちは。福岡で不動産鑑定士をしている上銘(じょうめい)です。
「リフォームにお金をかけても、本当に家賃が上がるんだろうか……」
「築25年の物件に、これ以上投資して回収できるのかな?」
そんな不安を抱えるオーナー様に、ぜひ見ていただきたい数字があります。
前回は福岡リートの事例を紹介しましたが、今回はさらにインパクトの強い、三井不動産アコモデーションファンド投資法人の事例(パークキューブ亀有)を深掘りします。
なんと、入居者の入れ替えに合わせた「水回りリニューアル工事」によって、家賃が13万6,000円から22万6,000円へ、実に「+66%」も跳ね上がったという、不動産鑑定士でも驚くような実績です。

プロはどこを見て、どうやって価値を付けたのか。
スライドにある具体的な数字から、その戦略を見てみます。
「30%想定」を遥かに超えた「66%」という実績値
まず、スライドに記載されたパークキューブ亀有(東京都葛飾区)を整理します。

- 物件の属性: 2000年竣工(築25年)、3LDK(71.6㎡)のファミリータイプ
- 入替前賃料: 136,000円
- リニューアル工事後・成約賃料: 226,000円
- 上昇率: 66%アップ(+90,000円)
当初、運用会社の想定では「30%以上の賃料アップ」を見込んでいたそうです。
それだけでも強気な計画ですが、実際にはその倍以上の、月額9万円の増額で成約しました。
もし、あなたがこの物件を所有していたら、ひと月で9万円、年間で108万円もキャッシュフローが増えることになります。
築25年といえば、普通なら「家賃を下げてでも空室を埋めたい」と考えがちな時期。しかし、適切な投資を行えば、これほどまでの「需要」があるのが不動産の面白いところです。
具体的に何を直したのか?「水回りリニューアル工事」の合理性
この家賃上昇を支えたのは、スライドにある「バリューアップ型物件」としての戦略的な工事内容です。
既存の間取りを活かし、水回りに集中投資
スライドには「既存の間取りを活かし、水回りを中心としたリニューアル工事を実施」とあります。
これ、コストを最小限となる非常にスマートな選択だと思いました!
壁を壊して間取りをガラッと変えるスケルトンリフォームは、解体費や設計費が掛かりますし、ファミリー層の需要を正確に捉えるのは難しいです。
しかし、この物件は「71.6㎡の3LDK」という、ファミリー層に根強い人気のある広さを維持したまま、キッチンや浴室といった、生活の満足度に直結する「水回り」にコストを集中させました。


入居者ニーズに刺さる「付帯設備」のアップデート
水回り以外にも、現代の生活に欠かせない3つの神器を導入しています。


- 宅配ロッカーを新設: 今や共働き世帯には必須のインフラ。
- モニター付きインターフォンへの切り替え: セキュリティ意識の高いファミリー層の安心感を確保。
- ノンタッチキーの導入: 鍵を出さずに解錠できる利便性は、日常の満足度を確実に上げます。
「13万円台なら住むけど、22万円なら新築がいい」と言わせない、中古物件でも「この設備ならこの家賃を払う価値がある」と思わせるスペックへの引き上げに成功しています。
特に、宅配ロッカーはとても良いですね!平日でも宅配を置いてもらえるので、相当に助かります!
不動産鑑定士が注目する「NOI利回り4.5%」と鑑定評価額
スライドには、僕たち不動産鑑定士が一番チェックする「鑑定評価額」と「利回り」についても記載されています。
- 取得価格: 976百万円
- 鑑定評価額: 1,000百万円
- NOI利回り: 4.5%
ここで注目してほしいのが、NOI利回りの注釈です。
「リニューアル工事後の中長期的に収受可能な賃料に基づいて算出」とあります。
つまり、リート側はこの物件を買う時点で、「今の低い家賃(13.6万円)」ではなく、「リニューアルして引き上がる未来の家賃」を前提に、将来的な稼ぐ力を見抜いて投資判断を下しています。
2025年に取得したばかりで、まだリニューアル工事をしていない貸室がほとんどですから、今後の伸び代といえます。

オーナー様への提言:どこを「残し」、どこを「変える」か
パークキューブ亀有の事例は、オーナーの意思決定の良い事例になります。
- 間取りは大事:3LDKで70㎡超えというファミリーが住みやすい間取りであれば、それは時代が変わっても価値があります。無理に壊す必要はありません。
- 「水回り」は投資効果が最も高い:入居者が一番「古さ」を感じ、かつ「新しくなってほしい」と願うのは水回りです。ここをリニューアルするだけで、賃料水準を一段上のステージへ押し上げることができます。
- セキュリティと利便性の小工事をケチらない:モニター付きインターフォンや宅配ロッカーなど、数十万円単位の投資でも、成約のスピードと家賃上昇の「正当化」に大きく寄与します。
結論:不動産の「再生」を数字で見ると面白い!
パークキューブ亀有の実例は、築25年の物件でも、水回りリニューアル工事という具体的な施策によって、家賃を1.66倍に引き上げ、需要のある貸室になるという好事例です。
リフォーム代は非開示ですが、専有部に500万円掛けたとしても、家賃が年108万円も増えていますから、投資回収は5年弱で完了します。
利回り(ROI)20%超なので、投資する価値が十分にあります!
「築年数が古いから」「エリアが郊外だから」と諦めてはいけませんね。
水回りなどの重要なポイントに絞って投資すれば、異次元のリターンを生むことだってあり得ます。
リフォーム代を単なる「コスト(出費)」と見るか、それとも「資産価値を倍増させる投資」と見るか。
この視点の違いが、将来の資産価格に数千万円の差を生みます。
「自分の物件でも、水回りリニューアルでどれくらい家賃が狙えるかな?」
「この工事で鑑定評価額はどれくらい上がるんだろう?」
そんな疑問が湧いたら、ぜひ一度ご相談ください。
不動産鑑定士として、スライドの数字のような「ロジカルな裏付け」を持って、物件の適正家賃を見定めます。
上銘不動産鑑定士事務所
不動産鑑定士 上銘
あとがき
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
今回は東京のダイナミックな事例でしたが、福岡でも同じことが起きています。
特に、築古のファミリー物件に水回り投資を施して、周辺の新築並みの家賃を獲りに行く戦略は、これからのインフレ時代に非常に有効です。
これからも、こうしたJ-REIT(プロ)の具体的な「事例」を、皆様の不動産経営に活かせる形で発信していきます!
以上です。お読みいただき、ありがとうございました。
この記事の執筆者

不動産鑑定士 上銘 隆佑
Ryusuke Joumei
上銘不動産鑑定士事務所 代表。
大和不動産鑑定株式会社 東京本社に2014年に入社後、2019年に不動産鑑定士登録(第10401号)。国内系不動産アセットマネジメント会社への出向を経て、大和不動産鑑定株式会社九州支社へ赴任。2024年に同社を退職し、上銘不動産鑑定士事務所を開所。
適正家賃、関係者間売買、証券化対象不動産、銀行の担保不動産、公有地の売買に係る不動産鑑定評価を中心に、不動産鑑定評価に携わる。
不動産鑑定業 福岡県知事 第(1)-347号
info@jkantei-office.com
お問い合わせはこちらから >
-scaled.png)
コメント