不動産鑑定の実務_#01

不動産鑑定の実務に携わり、早10年。案件毎の注意している点を備忘も兼ねて書き連ねます。

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「対象不動産の確認」について

「不動産鑑定」というと価格を計算することこそ全てのように思えますが、実は対象不動産の確定が大事です。最重要です。

実際の案件では、まず依頼者からこの土地の評価をお願いします、と言われて地番のリストを貰います。実務的には、登記簿と公図をネットで取得して、住宅地図上のどこを指すのか確認します。
不動産鑑定士的に言えば、「対象不動産の確認」になります。

ただ、ここで安心して、鑑定評価を進めていくにはまだ早い。周りの土地の登記簿取得も必要です。そして、土地所有者を見て、先ほどの依頼者から貰った地番の所有者と同じではないか、確かめます。

ここで、違う所有者であれば、ほぼ安心です。借地など特別な状況ではない限り、対象不動産が確定できました。


もし隣地も同一所有者の場合には、依頼者に確認です。質問すると「あ、そこもでした!」ということが何度もあります。

上記は珍しい事に思えますが、実務をすると3回に1回はここも対象不動産に含まれそうだな、という土地が出てきます。油断大敵です。

不動産鑑定士として、「隣地登記簿の調査」と「依頼者への確認」は価格の計算の前段階で最重要事項です。

私が評価する際には、必ず隣地の登記簿と地番上の建物を調べます。登記費用が数千円掛かりますが、その分の報酬をきちんと頂いておりますし、成果品にミスがあると依頼者にご迷惑をお掛けすることになります。

以上
不動産鑑定士(第10401号)
上銘 隆佑

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