
こんにちは。福岡で不動産鑑定士をしている上銘(じょうめい)です。
最近のホテル業界のトレンドとして、単なる老朽化に伴うリニューアルを超えた戦略的なリノベーションが目立ちます。
今回ご紹介するのは、2026年2月17日にリニューアルオープンした「ワシントンR&Bホテル名古屋栄東」の事例です。
ワシントンR&Bホテル名古屋栄東 リニューアルオープン! | ワシントンホテル株式会社のプレスリリース
ワシントンホテル株式会社のリリースを読み解くと、これからのビジネスホテルが生き残るための「収益向上策」が詰まっていると感じます。
不動産鑑定士として勉強になるなと感じる資料です!
特に注目したいのは、脱・シングル特化と、コネクティングルームの新設です。
客室構成の「大胆な再編」がもたらす収益インパクト
まず目につくのが、客室数の減少です。
- リニューアル前:205室(すべてシングル)
- リニューアル後:187室(シングル169室、ツイン18室)

全体の客室数は減少していますが、これは「1室あたりの収益最大化」を狙った判断。
普通は客室数を増やすのが定石でしたが、戦略転換です。
攻めてますね!
これまではビジネスマン1名での利用に限定されていましたが、新たにツインルームを設け、さらにその一部を「コネクティングルーム」にすることで、ファミリー層やインバウンドのグループ客を呼び込めるようになりました。
コネクティングルームとは、室内の内扉で2つの部屋を自由に行き来できるタイプ。
プライバシーを確保しつつ、家族や友人と一緒に過ごせるため、特に長期滞在のインバウンド客に非常に人気があります。
1室あたりの宿泊人数(DOR)を増やすことで、シングル1室×2部屋よりも高い客室販売単価(ADR)が期待できるわけですね。
注意点は、多人数で泊まる需要があるエリアなのか、という点です。
→このホテルは「栄」駅徒歩3分の好立地のため、需要がかなりありそうです!
「スペック」で単価を正当化する:快眠と美容の追求
ただ部屋を広くしただけでは、高い単価設定は納得してもらえません。
差別化のための高機能設備が導入されています。

独自の「選べるマットレス」スタイル
「エアウィーヴ」と「西川のAiR」という、高級寝具の代名詞ともいえる2社から、予約時に好みのマットレスを選べる仕組みを導入しています。
これは梅田のホテルで好評だった施策の横展開だそうですが、「自分に合った眠りを選べる」という付加価値は、宿泊料金への付加価値となりそう。
美容家電の導入
一部客室には「ReFa(リファ)」のシャワーヘッドやドライヤーを設置。

女性客やインバウンド客にとって、こうしたブランド家電が客室にあることは、宿泊先を選ぶ際の動機になりますね。
「R&B」ブランドの強みを活かした機能特化
R&BホテルのR(Room:客室)とB(Breakfast:朝食)に機能を絞り込む戦略も健在です。

朝食は、スタッフが焼き上げる焼きたてパンを中心としたバイキング形式。
あえて品数を絞り込みつつ、「焼きたてパン」という圧倒的な体験価値に特化することで、運営コストを抑えながら顧客満足度を高めています。
シングルルームについても、ワイドデスクをテレビが見やすい位置に配置するなど、ビジネス需要の利便性を向上。
既存の顧客層(ビジネス)を維持しながら、新しい顧客層(観光・ファミリー)を上乗せする、隙のない構成になっています。
不動産鑑定士が読み解く「戦略的CAPEX」の価値
今回のリニューアルは「戦略的CAPEX(資本的支出)」の優良事例です。
もし2001年開業のスペックのまま、壁紙だけを張り替えていたら、今のインフレ局面での単価上昇についていけず、資産価値は目減りする可能性が高いです。
しかし、
- ツイン・コネクティングルームへの転換による「多人数需要」の獲得
- 高機能寝具や美容家電による「宿泊単価」の向上
この2点を軸に投資を行うことで、物件の経済的耐用年数を延ばし、将来の収益性を大幅に向上させています。
結論:ホテル経営は「選ばれる理由」への追加投資が必要
ワシントンR&Bホテル名古屋栄東の事例は、ホテルオーナー様にとって非常に参考になります。
「これまではシングル中心だったから」という固定観念を捨て、今のマーケット(家族、インバウンド、高スペック志向)に合わせて部屋の作りそのものを変えていく。
この「攻めの姿勢」が、2019年超えの収益を叩き出すための鍵になります。
そんな投資判断の基準が必要なときは、ぜひ私たち不動産鑑定士にご相談てください。投資額に対してどれくらい価値が上がるか、数字でしっかりと裏付けいたします!
あとがき
「エアウィーヴか西川か選べる」というのは、出張族にとっても堪らないサービスですね。私なら、普段使っていない方を試してみたくなって、宿泊予約ボタンを即座に押してしまいそうです・・!
以上、お読みいただきありがとうございました。
以上です。お読みいただき、ありがとうございました。
この記事の執筆者

不動産鑑定士 上銘 隆佑
Ryusuke Joumei
上銘不動産鑑定士事務所 代表。
大和不動産鑑定株式会社 東京本社に2014年に入社後、2019年に不動産鑑定士登録(第10401号)。国内系不動産アセットマネジメント会社への出向を経て、大和不動産鑑定株式会社九州支社へ赴任。2024年に同社を退職し、上銘不動産鑑定士事務所を開所。
適正家賃、関係者間売買、証券化対象不動産、銀行の担保不動産、公有地の売買に係る不動産鑑定評価を中心に、不動産鑑定評価に携わる。
不動産鑑定業 福岡県知事 第(1)-347号
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