
福岡都市圏の中でも、特に人口増加が目立っている糟屋郡粕屋町。
福岡市のベッドタウンとして着実に発展を遂げており、令和7年の地価動向でも住宅地・商業地ともに好調な結果となりました。
今回は、不動産鑑定士の視点から、粕屋町の地価動向や地域特性、住みやすさについて、できるだけわかりやすく解説していきます。
粕屋町の住宅地│堅調な人口増加と住み替え需要を背景に地価は上昇傾向
人口は6年間で約3.2%増加、若い世代にも人気のエリア
福岡県全体ではここ数年、人口が横ばいから微減傾向にありますが、粕屋町はそんな流れに逆らうかのように、過去6年間で約3.2%も人口が増加しています。
福岡市に隣接している立地の良さに加え、自然環境と都市機能がバランスよく整っていることから、子育て世帯や若いファミリー層を中心に人気を集めているんです。
高齢化率も県平均(約28%)と比べて大きく低く、約18%程度にとどまっています。
つまり、比較的若い世代が多く住んでいる活気ある町だといえます。
戸建住宅中心の開発が活発に進行中
町内では、ミニ開発分譲を中心とした住宅開発が盛んに行われています。
特に注目されるのが、JR篠栗線「酒殿」駅周辺。
ここでは、土地区画整理事業が完了し、駅近エリアには一般住宅が次々と建ち並んできました。
駅から徒歩圏内で新築戸建てを持てるチャンスが広がっています。
また、福岡市内に比べて土地価格が手頃なことから、「福岡市内で賃貸に住んでいたけど、戸建てを持ちたい」という住み替え需要も強く支えています。
令和7年の地価公示において、住宅地の標準地数は6ポイント。
昨年と同様ですが、平均変動率は+7.4%と前年の+7.3%からわずかに上昇しており、引き続き堅調な住宅需要が感じられます。
主要交通網へのアクセスが良好な立地
粕屋町のもうひとつの強みは、交通アクセスの良さです。
- JR篠栗線(酒殿駅、長者原駅、柚須駅)
- JR香椎線(長者原駅)
と、複数の鉄道路線が利用できるほか、福岡I.C.から九州自動車道にもすぐアクセスできるため、車通勤にも便利な立地になっています。
この「電車も車も両方使いやすい」という環境が、幅広い世代に支持されている大きな理由のひとつです。
粕屋町の商業地│イオンモール福岡を核とした商業エリアが地価上昇をけん引
令和7年の商業地変動率は+11.8%、前年より上昇
令和7年の粕屋町における商業地の平均変動率は+11.8%。前年の+10.4%からさらに上昇し、堅調な商業地需要が続いていることがわかります。
標準地数は1ポイントですが、地価の動きは非常に力強く、商業施設を中心とした開発や集客力が評価されている状況です。
イオンモール福岡の存在感は絶大
やはり粕屋町の商業地における象徴的存在といえば、イオンモール福岡です。
町内のみならず、周辺の志免町、須恵町、宇美町、さらには福岡市東区からも多くの来客を集める巨大商業施設となっています。
週末には家族連れでにぎわい、粕屋町の経済活動に大きなインパクトを与えています。
また、酒殿駅南地区では、住宅開発と並行してコンビニエンスストアやドラッグストアなどの生活利便施設も続々と整備されつつあり、生活のしやすさがさらに高まっている印象です。
その他の商業施設も充実
粕屋町にはイオンモール福岡以外にも、生活に欠かせない商業施設が点在しています。
- ミスターマックス 粕屋店
- ヤマダデンキ Tecc LIFE SELECT 福岡志免本店
これらの大型量販店が近隣にあるため、家電や日用品の買い物にも非常に便利。
普段の生活で「わざわざ福岡市中心部に行く必要がない」という声もよく耳にします。
こうした生活利便性の高さが、粕屋町の住宅地・商業地の地価上昇をしっかりと支えているわけです。
粕屋町の注目エリアと将来展望
酒殿駅周辺│再開発で人気急上昇中
現在、粕屋町で最も注目されているエリアのひとつが、酒殿駅周辺です。
土地区画整理事業が完了したことで、駅近に新築戸建住宅が整然と並び始め、街並みが大きく変わりつつあります。
また、イオンモール福岡が徒歩圏にあるため、生活利便性も抜群。
通勤・通学に便利な立地でありながら、子育て環境も整っていることから、今後さらに人気が高まっていくことが予想されます。
長者原駅周辺│交通利便性を活かした成長エリア
長者原駅はJR篠栗線と香椎線が交差するターミナル駅。
福岡市内へのアクセスも良好で、今後ますます注目されるエリアといえます。
また、駅周辺には医療機関や公共施設も集積しており、安心して暮らせる環境が整っています。
交通利便性を重視する層には非常に魅力的な選択肢となるでしょう。
柚須駅周辺│市街化が進む注目スポット
柚須駅周辺も徐々に市街地化が進み、利便性が向上しています。
大型商業施設へのアクセスも良好でありながら、落ち着いた住宅街も広がっているため、「静かな住環境を求めるけど利便性も妥協したくない」というニーズに応えるエリアです。
今後さらにインフラ整備が進めば、より一層住みやすい街へと成長していく可能性があります。
不動産鑑定士の視点から見る粕屋町の魅力と課題
粕屋町の魅力│バランスの取れた「暮らしやすさ」
粕屋町は、住宅地としての魅力と商業地としての利便性が、非常にバランスよく共存しているエリアです。
- 交通アクセスの良さ
- 大型商業施設の充実
- 若い世代が多い活気あるコミュニティ
- 自然環境と都市機能のバランス
こうした要素がそろっているため、「永住志向」の層からも非常に高い支持を受けています。
今後の課題│交通渋滞や公共施設の整備
一方で、人気エリアゆえの課題も見えてきています。
特に、週末になるとイオンモール福岡周辺で交通渋滞が発生することがあり、今後さらに人口が増加すると、道路インフラの整備が求められる場面も増えてくるでしょう。
また、子育て支援施設や医療機関など、公共施設の整備も引き続き注視が必要です。
利便性の高さとともに、「暮らしの質」を保つ取り組みがこれからの粕屋町に求められます。
まとめ│地価上昇の背景には「選ばれる街」としての実力
令和7年の地価動向からも明らかなように、粕屋町は住宅地・商業地ともに堅調な成長を続けています。
背景には、交通アクセスの良さ、生活利便性、若い世代に選ばれる環境といった確かな実力があるからです。
福岡市近郊で戸建住宅を探している方や、将来的な資産形成を考えている方にとって、粕屋町は非常に有力な選択肢となるでしょう。
これからも不動産鑑定士の視点で、粕屋町の動向をしっかり追いかけていきたいと思います。
個人的には、イオンモール福岡の集客力は凄いの一言です!
ユニクロ、GU、スターバックス、カルディコーヒーファーム、久世福商店、トイザらス、Francfrancなど、人気店が揃っています。休日は家族連れで賑わっていて、粕屋町としての勢い・活気を感じます!
以上です。お読みいただき、ありがとうございました。
不動産鑑定士 上銘 隆佑


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