【解説】地価で見るみやこ町│令和7年は住宅地・商業地ともに下落。みやこ行橋バイパス整備により渋滞緩和が期待される(R7地価公示)

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【執筆・監修】不動産鑑定士 上銘 隆佑
上銘不動産鑑定士事務所 代表

目次

はじめに

福岡県京都郡に位置するみやこ町は、自然豊かで穏やかな住環境が広がる町です。


しかしながら、近年は人口減少と高齢化が進行しており、それに伴って住宅地・商業地ともに地価が下落する傾向が続いています。


令和7年(2025年)の地価公示においても、住宅地・商業地ともに下落幅が拡大する結果となりました。

一方で、町内では国道201号のバイパス整備が進められており、交通アクセスの改善に対する期待感も徐々に高まっています。

本記事では、みやこ町の地価動向を不動産鑑定士の視点から丁寧に解説し、今後の展望についても考察していきます。

みやこ町の住宅地地価動向|下落幅が拡大

住宅地の平均変動率

令和7年の住宅地の平均変動率は▲2.2%と、前年(▲1.9%)よりも下落幅が拡大しました。

これにより、みやこ町の住宅地市場は、総じて厳しい状況が続いていることがうかがえます。

この下落は、単なる景気変動によるものではなく、人口減少と高齢化という構造的な問題に起因している点が特徴です。
みやこ町の高齢化率は40%を超えており、今後もこの傾向が続くことが予想されます。

住宅地市場の現状と特徴

みやこ町では、住宅地の需給が総じて低調な状況にあります。


新たな住宅需要を支える層が少なく、空き家や空地の増加が続いています。

ただ、その中でも町は定住促進策を講じており、たとえば「本庄分譲地」の販売が行われています。

令和6年11月末時点で、5区画中4区画が販売済みということで、一定の成果は上げている状況です。
こうした取り組みは、今後の地価下落を少しでも食い止める効果が期待されます。

一方で、節丸、豊津、祓郷の3つの小学校が統廃合され、令和6年4月から豊津小学校に統合されたことも、地域の子育て環境に一定の影響を与えています。

少子化の影響は顕著であり、住宅地の需要にも引き続きマイナスの圧力がかかりそうです。

みやこ町の商業地地価動向|商業地も厳しい展開

商業地の平均変動率

令和7年の商業地の平均変動率は▲1.8%と、前年(▲1.2%)よりも下落幅が拡大しました。


住宅地と同様に、商業地も総じて低調な動きを示しています。

特に、町全体での人口減少に加えて、地元需要を支える購買力が低下していることが影響していると考えられます。


地域の小売店舗の多くが厳しい経営状況に置かれており、撤退や規模縮小といった動きが見られます。

商業地市場の現状と特徴

みやこ町内には、幹線道路沿いに農産物販売所や沿道型飲食店などが点在しています。


ただ、既存の小売店舗は全体的に衰退傾向にあり、新たな大型商業施設の進出も少ないのが現状です。

これにより、商業地の需要も低調であり、地価の下落幅が拡大する結果となっています。


新たな商業開発が進まない限り、地価回復には時間がかかりそうです。

一方で、勝山地区において国道201号バイパスの整備が予定されているため、沿線周辺では一定の期待感も認められています。


みやこ行橋バイパス整備が実現すれば、交通アクセスの向上により、商業地にとってはプラス材料となる可能性があります。

交通インフラと地域整備の動向

みやこ行橋バイパス整備計画

みやこ町にとって大きなインフラ整備プロジェクトとなるのが、「みやこ行橋バイパス」です。
このバイパスは国道201号線のバイパスとして整備が進められており、勝山地区を中心に、交通の円滑化が期待されています。

令和6年度内にも都市計画決定が行われる見込みとされており、今後の正式決定・着工に注目が集まっています。

→250427追記 正式に整備が決定し、総事業費610億円となりました。
国道201号線「みやこ行橋バイパス」整備へ 渋滞緩和に期待|NHK 北九州のニュース

バイパスが完成すれば、これまで慢性的だった渋滞の緩和が期待され、沿線地域の利便性向上にもつながります。

これにより、商業地や住宅地への波及効果が少しずつ出てくる可能性があります。

鉄道アクセスと周辺環境

みやこ町内には、平成筑豊鉄道の田川線が通っており、犀川駅、豊津駅、新豊津駅といった駅が設置されています。
特に豊津駅周辺は町の中心部にあたり、行政施設や公共施設も集中しています。

とはいえ、鉄道によるアクセス需要は限定的であり、マイカー依存型の生活スタイルが中心となっています。
そのため、今後も交通インフラ整備は、地価動向を左右する重要な要素になりそうです。

また、みやこ町豊津運動公園など、地域住民の憩いの場も整備されていますが、こうした施設の存在が住宅地選びにプラスの影響を与える可能性もあります。

地域の課題と展望

少子高齢化と人口減少

みやこ町では、少子高齢化と人口減少が大きな課題です。
高齢化率は40%を超え、若年層の流出も続いています。

このため、住宅需要が縮小しているだけでなく、地域経済全体の活力低下にもつながっています。

商業地でも新たな事業者の進出が少なく、地元の購買力低下による閉店が相次ぐといった状況が続いています。

ただし、定住促進策や子育て支援策を強化することで、今後少しずつでも改善を図ることは可能です。

たとえば、町内の分譲地販売や交通インフラの整備によって、一定の人口流入を促すことが期待されています。

地価の今後の動き

地価の動向については、短期的には引き続き緩やかな下落が続くとみられます。


特に人口減少が止まらない限り、大幅な地価回復は難しいでしょう。

しかし、中長期的には、みやこ行橋バイパスの整備など交通インフラの改善が進むことで、一定の下支え効果が期待できます。

さらに、自然豊かで住みやすい環境を活かしたPRや、子育て支援・移住促進策を打ち出すことができれば、地価安定に向けた流れを作ることも可能です。

まとめ|みやこ町のこれからに期待

令和7年の地価公示を見ると、みやこ町は住宅地・商業地ともに地価下落が続き、しかも下落幅が拡大している状況です。
人口減少と高齢化という大きな課題に直面しているものの、国道201号バイパス整備などのプラス材料も出てきています。

すぐに大きな地価上昇を期待するのは難しいですが、インフラ整備や地域活性化策によって、じわじわと地価下落に歯止めをかける動きが出てくる可能性は十分にあります。

自然と歴史に恵まれたみやこ町だからこそ、次の一手をどう打つかが重要な局面に来ています。

今後も地域の動向をしっかり見守っていきたいですね!

特にみやこ行橋バイパス整備PJは、供用開始時期が未定であるものの、将来への期待感が高まります!


以上です。お読みいただき、ありがとうございました。
不動産鑑定士 上銘 隆佑

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