【解説】地価で見る福岡市城南区│令和7年は住宅地・商業地ともに上昇。分譲マンション好調、特に七隈線各駅の徒歩圏内は堅調(R7地価公示)

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【執筆・監修】不動産鑑定士 上銘 隆佑
上銘不動産鑑定士事務所 代表

目次

はじめに

福岡市城南区は、落ち着いた住宅地が広がるエリアでありながら、地下鉄七隈線の整備によって交通利便性が大きく向上してきた地域です。

令和7年の地価公示(R7地価公示)を見ると、住宅地・商業地ともに上昇しており、区全体として需要の強さが改めて確認できました。

今回は、不動産鑑定士の視点から、福岡市城南区の地価動向についてわかりやすく解説していきます。

また、七隈線各駅周辺の分譲マンション事情や、最近の街の変化についても触れていきたいと思います。

福岡市城南区の住宅地地価動向|堅調な需要が支える安定上昇

住宅地の平均変動率

令和7年の住宅地平均変動率は+7.7%でした。
前年(令和6年)は8.3%だったので、若干上昇幅は縮小していますが、それでも十分高い水準を維持していると言えます。

対象となった17地点すべてで上昇しており、改めて区全体として住宅需要が堅調に推移していることがわかります。

また、上昇幅が拡大した地点が6地点あった一方で、上昇幅が縮小した地点も9地点ありました。

ただ、縮小したといっても減少幅は0〜2ポイント程度で、上昇率自体はほとんどの地点で6%以上を維持しているため、極端に需要が落ち込んだわけではない点がポイントです。

上昇幅が拡大した地域

上昇幅が拡大したのは、松山荒江七隈といった、以前から住宅地として人気が高かった地域が中心です。

特に、地下鉄七隈線のアクセスが良好な場所では、今もなお住宅ニーズが強く、分譲マンションの供給も活発になっています。

また、これまで交通利便性にやや劣るとされていた東油山、西片江エリアでも上昇幅が拡大しました。

これは、七隈線の利便性向上や、福岡都市圏全体の地価上昇の波及効果によるものと考えられます。

七隈線の延伸効果が、中心部から少し離れた地域にも波及しているというのは、今後の住宅地市場を考えるうえで非常に興味深いポイントですね。

七隈線各駅の注目スポット

地下鉄七隈線の各駅周辺では、近年、分譲マンションの新規供給が目立っています。

例えば、

  • グランドオーク別府碧のテラス(茶山駅徒歩圏)→ 完売
  • アクタス茶山グランミライ(茶山駅徒歩圏)

といった大型プロジェクトが進行し、駅徒歩圏内の価値が一段と高まっています。

別府駅、茶山駅、金山駅、七隈駅、福大前駅、梅林駅周辺では、徒歩圏を意識した物件選びをする動きが強まっており、価格水準も堅調に推移しています。

七隈線の便利さに加え、友泉亭や西南杜の湖畔公園など、自然を感じられるスポットも近くにあるため、「都会過ぎず、かつ便利」という絶妙なバランスが城南区の人気を支えているんですね。

福岡市城南区の商業地地価動向|高水準を維持するも若干の落ち着き

商業地の平均変動率

令和7年の商業地平均変動率は+11.7%となり、前年(13.3%)に比べると若干下がりました。


とはいえ、11%を超える上昇率は全国的に見ても高水準であり、依然として非常に堅調な動きを見せています。

対象となった2地点はいずれも上昇しており、上昇幅の減少も1〜2%程度にとどまりました。
商業地についても、住宅地と同様に大きな需要減退は見られていない状況です。

地下鉄各駅周辺・幹線道路沿いの商業地

城南区内の商業地は、地下鉄各駅の周辺や、油山観光道路などの幹線道路沿いに形成されています。

ここでは、店舗や店舗兼共同住宅といった、商住混在型の地域が多く見られます。

中でも、地下鉄別府駅周辺は非常に需要が強く、

  • 商業利用の需要
  • 分譲マンション用地としての需要
  • 店舗兼住宅用地としての需要

など、複数用途のニーズが重なり合っています。


この結果、城南区の商業地では、地価上昇率が+13.6%と非常に高い水準を記録しました。

中心市街地に近いながらも、比較的落ち着いた雰囲気を持つ別府周辺は、今後も安定した需要が続くと見られます。

城南区の生活環境と魅力

生活利便性と自然環境のバランス

城南区は、福岡市中心部へのアクセスが良好でありながら、自然も身近に感じられる暮らしやすいエリアです。

福岡大学病院などの大型医療機関もあり、医療環境が整っているのも大きな安心材料です。

また、油山市民の森や友泉亭、西南杜の湖畔公園といった自然豊かなスポットが近く、週末のリフレッシュにも困りません。

交通面では、七隈線が都心部への移動をスムーズにしており、車利用でも福岡都市高速環状線へのアクセスが容易なため、利便性はかなり高いと言えます。

このように「便利だけど自然も多い」という点が、城南区の大きな魅力となっています。

教育環境

城南区には、福岡大学をはじめとした高等教育機関が集積しており、教育水準も比較的高い地域です。

また、城南高等学校など、地元で評価の高い高校も存在しており、子育て世代にも支持されています。

文教エリアとしての落ち着いた雰囲気が、住宅地需要を下支えしている面も大きいですね。

地域の課題と展望

地価高騰への懸念

城南区は今後も一定の地価上昇が期待されますが、同時に地価高騰に伴う課題も無視できません。

  • 住宅価格の高止まり
  • 賃料の上昇
  • 中古マンションの価格も高騰

こういった問題が徐々に表面化する可能性もあります。
分譲マンションについても、価格帯が徐々に高くなっており、購入層が限定されてきている印象です。

特に若年層にとっては、城南区駅徒歩圏内での新築物件取得がややハードルの高いものになりつつあります。

七隈線のさらなる活用

七隈線沿線の利便性をさらに活かすためには、駅周辺のまちづくりの工夫が求められます。

梅林駅や福大前駅周辺では、まだまだ未利用地や低利用地も残っているため、今後の開発余地にも注目していきたいところです。

まとめ|福岡市城南区は今後も安定上昇が期待できるエリア

令和7年の地価公示では、福岡市城南区の住宅地・商業地ともに堅調な上昇を記録しました。

住宅地は平均+7.7%、商業地は平均+11.7%と、いずれも高い上昇率を維持しています。

七隈線各駅徒歩圏では分譲マンション開発も盛んであり、これが地価の底堅さを支える大きな要因となっています。

また、自然環境と都市利便性のバランスが取れた住環境は、今後も多くの人に選ばれ続けることでしょう。

一方で、価格上昇に伴う住宅取得難や、地域格差の拡大といった課題にも注意が必要です。

それでも、城南区は福岡市内でも非常に安定感のあるエリアであり、将来性にも十分期待が持てる地域だと思います。

当事務所は城南区にあるので、これからも地価動向街の変化に注目していきます!


以上です。お読みいただき、ありがとうございました。
不動産鑑定士 上銘 隆佑

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