【解説】地価で見る志免町│令和7年は住宅地・商業地ともに上昇、新「空港北口」I.C.に期待(R7地価公示)

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【執筆・監修】不動産鑑定士 上銘 隆佑
上銘不動産鑑定士事務所 代表

福岡市の東側に隣接する糟屋郡志免町。福岡空港にも近く、交通アクセスの良さと、緑豊かな住環境をあわせ持ったコンパクトな町として知られています。

ここ最近では、子育て世代を中心に「福岡市内に近く、なおかつ落ち着いた生活ができる場所」として志免町への移住が進んでおり、不動産市場にも活発な動きが見られるようになっています。

今回は、不動産鑑定士の視点から、志免町の地価動向やエリアごとの特徴、住宅地・商業地それぞれの今後の展望について、わかりやすくまとめてみました。

目次

志免町の住宅地地価動向

住宅地はすべて上昇、堅調な市場環境

令和7年の志免町の住宅地平均変動率は+5.8%の上昇となりました。前年の5.4%と比べても若干上昇幅が広がっており、住宅地市場の堅調さが際立っています。

町内の住宅地6地点すべてで地価が上昇しており、特に福岡市博多区方面へのアクセスが良好な地域では、分譲マンションの供給も進んでいます。これがまた住宅需要を押し上げ、地価の上昇につながっているという構図です。

志免町の人口も安定して推移しており、ベッドタウンとしての役割を着実に果たしていることがよくわかります。

福岡空港至近エリアの人気が高い

志免町といえば、福岡空港にとても近いエリアというイメージを持っている方も多いと思います。

実際、空港の北側に位置する地域では、博多方面への通勤が非常に便利なこともあり、住宅地としての人気が高まっています。

空港周辺というと「騒音が心配」というイメージもあるかもしれませんが、志免町の場合は緑豊かな公園や落ち着いた住宅地が整備されているため、住環境に悪影響を感じるケースはあまり見られません。

特に東平尾公園の周辺などは、自然と都市機能のバランスが良く、ファミリー層にとって非常に魅力的なエリアとなっています。

交通インフラの整備が追い風に

さらに追い風となっているのが、交通インフラの整備です。

現在、福岡都市高速の延伸計画が進められており、「空港通」I.C.のほか2030年度新設を目標に「空港北口」I.C.が整備されています。新I.C.により、志免町へもプラスの影響が大きいです。

また、近隣の須恵町には「須恵スマート」I.C.も設置されており、小倉や太宰府方面への広域的なアクセス性も大幅に向上しました。

こうした交通利便性の高さが、志免町の住宅需要をさらに底上げしている状況です。

志免町の商業地地価動向

商業地も安定的な上昇を記録

志免町の商業地平均変動率は、令和7年も8.9%の上昇となりました。前年も同じ8.9%だったため、上昇ペースは横ばいですが、非常に高水準を維持していると言えます。

大型商業施設周辺や幹線道路沿いを中心に、店舗や事業所などの需要が引き続き高まっており、志免町の商業地は全般的に地価上昇傾向が続いています。

イオンモール福岡周辺の発展

志免町の商業地といえば、まず外せないのが「イオンモール福岡」周辺です(厳密にはイオンは粕屋町所在)。

県内でも屈指の集客力を誇るこの大型商業施設には、休日になると多くの家族連れや若者たちが訪れます。

そのほか、車があれば「スターバックス コーヒー 博多の森店」や「TSUTAYA BOOK GARAGE 福岡志免店」など、人気のあるカフェや書店まで行けます。

日常的な買い物だけでなく、ちょっとしたリフレッシュの場としても使われています。

こうした環境整備が進んでいることで、商業地の評価もさらに高まり、地価にもプラスの影響を与えています。

幹線道路沿いでは物流施設の進出も

もう一つ特徴的な動きとして、空港や高速道路へのアクセスが良好な地域では、物流施設の進出が目立つようになってきました。


空港を拠点とする航空貨物や、九州一円への配送拠点を志免町周辺に構える企業が増えてきており、土地需要がじわじわと高まっています。

特に空港通沿いや都市高速出入口周辺では、事業用地としてのニーズが底堅く、将来的にも商業地価格の押し上げ要因となりそうです。

マンション開発地としての競争も活発に

さらに、マンション開発が可能なエリアでは、ディベロッパー間での競争も活発化しています。

特に福岡市東区寄りのエリアでは、既に複数の新築マンションプロジェクトが進行中であり、今後も地価上昇を後押しする要因となるでしょう。

志免町の魅力と今後の展望

緑豊かな住環境と都市機能のバランス

志免町の最大の魅力は、何と言っても「緑豊かな住環境」と「都市機能」の絶妙なバランスにあります。

東平尾公園やイオンモール福岡周辺など、自然とショッピング施設が共存しており、「便利だけど落ち着いて暮らせる」という贅沢な環境が整っています。

また、公園や運動施設も充実しているため、子育て世代やアクティブなライフスタイルを好む方にとっては、非常に暮らしやすい町と言えるでしょう。

都市高速延伸でさらに便利に

今後注目したいのが、都市高速の延伸です。

空港通I.C.や空港北口I.C.周辺の整備が進めば、志免町から福岡市中心部へのアクセスはますますスムーズになります。

須恵スマートI.C.経由での広域的な移動もラクになり、住む場所としても、事業拠点としても、志免町のポテンシャルは一層高まっていくはずです。

空港立地を活かした新たな展開にも期待

福岡空港に近いという地の利を活かし、志免町では今後も物流拠点や観光需要を取り込んだ街づくりが進んでいくことが予想されます。


特に、空港を利用するビジネスパーソン向けの短期滞在型住宅や、関連施設の開発なども検討されており、町全体の発展に寄与する可能性があります。

まとめ

志免町の地価動向を振り返ると、住宅地・商業地ともに安定した上昇基調が続いていることがわかります。


住宅地については、福岡市へのアクセス性、緑豊かな住環境、交通インフラの整備が需要を支えていますし、商業地については、大型商業施設周辺の発展や物流施設ニーズが地価上昇を後押ししています。

今後も、都市高速延伸や空港関連施設の開発など、志免町を取り巻く環境はさらにポジティブな方向に向かっていきそうです。

不動産鑑定士の立場から見ても、志免町は「今後も注目しておきたいエリア」といえます。
特に都市高速空港線の延伸は一大ニュース。インフラの変化は地価に大きくプラスの影響となります!


以上です。お読みいただき、ありがとうございました。
不動産鑑定士 上銘 隆佑

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