【解説】地価で見る新宮町│令和7年は住宅地、商業地ともに好調、国道3号沿いが引き続き強い(R7地価公示)

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【執筆・監修】不動産鑑定士 上銘 隆佑
上銘不動産鑑定士事務所 代表

目次

糟屋郡新宮町の概要とアクセス環境

福岡市の東隣に位置する糟屋郡新宮町。福岡市内中心部までは、JR「新宮中央」駅から快速電車でわずか15分程度、西鉄貝塚線の「西鉄新宮」駅も利用できるなど、アクセスの良さが魅力です。

さらには国道3号が町の中央を貫いており、自動車での移動も非常にスムーズ。

IKEA 福岡新宮店、カインズ 福岡新宮店、ロピア 福岡新宮店、スターバックス コーヒー 福岡新宮店といった商業施設も集積していて、日常生活の利便性は非常に高い地域となっています。

このような住みやすさと利便性を兼ね備えた新宮町は、福岡市内からの転入者を中心に、住宅地需要が引き続き堅調に推移しているというわけです。

住宅地の地価動向

平均変動率は7.3%、上昇基調は継続

令和7年の地価公示において、新宮町の住宅地の平均変動率は7.3%となりました。

前年の8.7%に比べるとやや上昇幅は縮小しましたが、それでも十分に高い伸び率と言えます。調査対象となった住宅地7地点はいずれも上昇しており、町全体としての住宅地需要の強さを裏付ける結果となっています。

福岡市のベッドタウンとしての新宮町は、金利や物価動向への警戒感が高まるなかでも、堅調な住宅需要が続いています。

福岡市内と比較した「価格の割安感」がなお意識されており、この割安感が当面は地価の上昇を支えていくと考えられます。

「下府」「三代」地区で土地区画整理事業が進行中

新宮町では、「下府」および「三代」地区において、住宅整備を含めた大規模な土地区画整理事業が進められています。こ

れらの開発により、新たな住宅供給が期待できるほか、周辺の不動産取引も活発化していく見込みです。

現時点でもこのエリア周辺では、新築戸建住宅の供給が活発になっており、今後数年にわたって住宅地市場の活性化が続くものと予想されます。

新たな街並みの形成と、それに伴う人口増加が、さらに地域全体の価値を押し上げるという好循環が続きそうです。

商業地の地価動向

商業地の標準地は設定されていないが実態は好調

新宮町には、地価公示上、商業地としての標準地設定はありません。

しかし実際には、商業施設の出店意欲が非常に高いエリアとなっています。特に国道3号沿いは、もともと交通量が非常に多く、また周辺人口も増加していることから、路面店舗やロードサイド型店舗の出店が相次いでいます。

現時点でも、ロピア 福岡新宮店、カインズ 福岡新宮店、IKEA 福岡新宮店、メガセンタートライアル新宮店といった商業施設が国道3号沿いやその背後に集中しており、商業集積がさらに強化されている印象です。

JR新宮中央駅前エリアも注目

もう一つ注目したいのが、JR「新宮中央」駅前周辺です。

ここでは駅近という立地条件を活かし、マンションや中高層住宅とともに、小規模な商業施設の開発も進んでいます。

駅前立地を求める不動産事業者や開発業者の潜在的な購入意欲も高く、今後さらに駅周辺の商業機能が充実していく可能性が高いと言えるでしょう。

駅利用者数も着実に増加傾向にあり、交通結節点としての価値がじわじわと高まっています。

国道3号沿いの強さと商業地の今後

ロードサイド型店舗が相次ぐ理由

国道3号沿いの強さの背景には、「広い敷地が確保しやすい」という事情があります。

大型駐車場を備えたロードサイド型店舗が出店しやすく、車社会の福岡都市圏において非常に相性が良いのです。

また、新宮町は福岡市中心部と比べて土地取得コストも抑えられるため、店舗開発コストを低く抑えることができるというメリットもあります。

こうした条件がそろっているため、今後も引き続きロードサイド型の店舗開発が続く可能性が高いと考えられます。

出店意欲は堅調、空き区画も出にくい

新宮町内の商業地については、良好な交通アクセスと周辺人口の増加を背景に、出店意欲が非常に高い状態が続いています。

国道3号沿いや駅前においても、空き区画が出るとすぐに新たなテナントが入るケースが目立ちます。賃料水準もじわじわと上昇してきており、地価の上昇傾向と連動しているように見受けられます。

開発業者や不動産会社のヒアリングでも、「いい立地があればすぐに押さえたい」という声が多く聞かれます。

住宅地市場の今後の見通し

福岡市内との価格差縮小には注意

新宮町の住宅地市場は引き続き堅調に推移すると見られますが、福岡市内との価格差が縮小しつつある点には注意が必要です。

もともと割安感を背景に需要を引きつけてきた新宮町ですが、近年の地価上昇でその割安感がやや薄れてきているのも事実です。

とはいえ、交通アクセスの良さや生活利便性の高さ、緑豊かな住環境など、新宮町独自の強みは今後も支持されるでしょう。特に、戸建住宅志向の一次取得層には根強い人気が続くと思われます。

新たな住宅供給にも注目

今後、下府・三代地区の区画整理事業による新たな住宅供給が本格化すると、エリア全体の住宅地市場はさらに活性化していくでしょう。

ただし供給が一気に増えるタイミングでは、一時的に販売競争が激しくなる可能性もあります。市場動向を注視しながら、慎重に見極めていく必要がありそうです。

まとめ

令和7年の地価公示結果を踏まえると、新宮町の住宅地は堅調な上昇基調を維持しており、商業地も国道3号沿いを中心に高いポテンシャルを見せています。

福岡市内へのアクセスの良さ、大型商業施設の集積、生活利便性の高さなど、非常にバランスの取れた町であることがあらためて浮き彫りになった一年だったと言えるでしょう。

今後も、戸建住宅を中心とした住宅需要や、ロードサイド型店舗の出店需要に支えられ、新宮町の地価は底堅い動きを続けていくものと考えられます。

ただし、価格水準の上昇に伴う割安感の薄れには一定の注意も必要であり、今後の開発動向や市場トレンドを見極めながら、適切な投資判断や不動産活用を行っていくことが重要です。

個人的には、新宮町大好きです。
IKEAやロピアを筆頭に、商業施設がとても充実しています。車がある家族世帯には最高の住環境だと思います!


以上です。お読みいただき、ありがとうございました。
不動産鑑定士 上銘 隆佑

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