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福岡オフィスの賃料ギャップ事例│福岡リート投資法人の事例でみる2025年の賃料改定状況

不動産鑑定士の写真

【執筆・監修】不動産鑑定士 上銘 隆佑
上銘不動産鑑定士事務所 代表

こんにちは。福岡で不動産鑑定士をしている上銘(じょうめい)です。

前回のホテル改装事例の記事が好評だったので、今回は福岡の「オフィス賃料改定」についても書いてみたいと思います。

福岡リートIRより

不動産オーナー様にとって、いま最も気になるのは「天神ビッグバンや博多コネクティッドで、自分のビルの家賃も上げられるのか?」という点ではないでしょうか。

今回、福岡リート投資法人の最新資料に、個別のビルごとの「賃料増額の実績」という、これまた不動産鑑定士が大好きな貴重な事例(コンプス)が載っていました。

今の福岡で、実際にどれくらいの賃料改定が行われているのか。

福岡のオフィス市場のリアルを、不動産鑑定士の視点で見ていきます!


目次

入替や改定で「+30%」超えも。増額事例を見る。

資料を見てまず目を引くのが、+20%〜+30%という、オフィス賃料としては珍しい上昇率です。

仮に、坪単価15,000円のオフィスなら、入替や増額改定で坪18,000~19,500円まで上昇しているということです。めちゃ上がってる・・。

主要ビルの増額実績

  • サニックス博多ビル(増額改定):+31.3%(対象78坪)
  • 博多筑紫通りセンタービル(増額入替):+30.0%(対象202坪)
  • 東比恵ビジネスセンター(増額入替):+23.1%(対象25坪)
  • 呉服町ビジネスセンター(増額入替):+17.2%(対象357坪)

特に注目したいのは、サニックス博多ビルの+31.3%です。

福岡リートIRより

これ、テナントの入替ではなく「既存テナントとの改定」でこの数字を叩き出しているんです。

不動産鑑定士の視点で見ると、これは「マーケット賃料(相場)」と「実際の契約賃料」の間に、とてつもない乖離(賃料ギャップ)があったことを意味しています。

今の福岡オフィス市況なら、これだけの強気な交渉が通るという、凄まじい事例ですね。


既存テナントへの「浸透」が進む内部成長

大規模な入替だけでなく、複数のテナントとの着実な交渉も実を結んでいます。

2025年8月期の実績(一部抜粋)

  • キャナルシティ・ビジネスセンタービル
    • 件数:7件
    • 賃料増加率:+7.6%
    • 対象面積:1,205坪
  • 東比恵ビジネスセンター
    • 件数:3件
    • 賃料増加率:+7.9%
    • 対象面積:1,068坪
  • サニックス博多ビル(直近)
    • 件数:1件
    • 賃料増加率:+18.8%
    • 対象面積:615坪
福岡リートIRより

キャナルシティのように複数のテナント(7件)と同時並行で交渉し、しっかり7.6%の増額を勝ち取っている点は、管理・運営側の粘り強い交渉力が伺えます。

また、東比恵ビジネスセンターのような1,000坪を超える広い面積でこれだけの底上げができると、ビル全体の収益力は一気に強固になります!

サニックス博多ビルについては、615坪という広い区画で+18.8%の増額改定が成功しています。強い!

テナントさんの目線で見ると、当然オフィス賃料が上がると嫌なのですが、他のオフィスへ転出を検討すると、新賃料+今のビルの原状回復工事費と、更に費用が掛かってしまいます。。

それなら今のオフィスで、増額改定しようかという流れになります。


「賃料ギャップ10%超」という今後の契約更新スケジュール

今回の資料で興味深いな!と思ったのが、今後の「契約更新スケジュール」のグラフです。

資料によると、今後更新を迎える面積のうち、かなりの部分が「賃料ポジティブギャップ10%超」とされています。

  • 2026年2月期:約6,200坪
  • 2026年8月期:約9,400坪
福岡リートIRより

つまり、「まだ相場より10%以上安く貸しているオフィス区画」が、これだけの規模で控えているということです。

リート側は、これらの更新時期が来るたびに、さらに収益を押し上げられる「好循環」が続くと見ているわけです。

これは福岡のビルオーナー様にとっても、非常に明るい材料ですね。


自身の不動産経営にどう活かすか?

福岡リートの事例から学べる、オーナー様への助言は3つあるかと思います。

「賃料ギャップ」を放置しない

サニックス博多ビルや博多筑紫通りセンタービルのように、実は相場が+30%も上がっているのに、昔の賃料のまま更新し続けていませんか?

まずはご自身のオフィスの「今の価値」を客観的に知ることが大切です。

交渉の準備期間を持つ

福岡リートの保有物件の平均残存契約年数は約1.4年。

つまり、1年以上前から次の更新に向けた相場調査やシミュレーションを始めています。

福岡リートIRより

いきなり交渉するのではなく、時間をかけて「周辺の増額事例」を集めることが成功の秘訣だと思います。

エリアの「勢い」に乗る

東比恵や呉服町といった、博多・天神から外れたエリアでも+20%前後の増額事例が出ています。

天神中心部だけでなく、その波及効果が周辺にもしっかり届いている今こそ、交渉のチャンスです。


結論:福岡のオフィス賃料は「増額改定」が続く見込み

今回は、福岡のオフィス市場が「ただ空室が埋まっている」だけでなく「賃料が力強く上昇している」ことを事例として追うことができました。

  • 入替なら+30%アップ
  • 改定でも+10%〜20%アップ

自分の物件なら、どこまで増額改定できるだろうか。

今の賃料は、相場とどれくらい乖離があるだろうか。

そんな悩みがあれば、ぜひ一度、不動産鑑定士にご相談ください。

私たち不動産鑑定士は、こうしたJ-REITの最新事例や水面下の成約事例を収集・分析して、個別物件の「収益力」を数字でご説明する国家資格です。

あとがき

福岡リートの資料は、オフィスビルの改定事例がわかりやすく紹介されており、非常に貴重な資料です!

こうした具体的な「増額率」を頭に入れておくだけでも、テナントさんや管理会社さんとの会話がスムーズに進むはずです。

以上、お読みいただきありがとうございました。

ほかにも、当事務所では福岡の不動産市況をマーケットレポートにまとめています。

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上銘不動産鑑定士事務所 – 福岡都市圏、九州各県の評価実績あり。https://jkantei-office.com/


以上です。お読みいただき、ありがとうございました。

この記事の執筆者

活動写真

不動産鑑定士 上銘 隆佑
Ryusuke Joumei

上銘不動産鑑定士事務所 代表。
大和不動産鑑定株式会社 東京本社に2014年に入社後、2019年に不動産鑑定士登録(第10401号)。国内系不動産アセットマネジメント会社への出向を経て、大和不動産鑑定株式会社九州支社へ赴任。2024年に同社を退職し、上銘不動産鑑定士事務所を開所。
適正家賃、関係者間売買、証券化対象不動産、銀行の担保不動産、公有地の売買に係る不動産鑑定評価を中心に、不動産鑑定評価に携わる。
不動産鑑定業 福岡県知事 第(1)-347号

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