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【令和7年度 地価調査】筑紫野市の不動産市場は「安定」へ。急上昇から一転、冷静さを取り戻した街の現在地を不動産鑑定士・上銘が解説


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【執筆・監修】不動産鑑定士 上銘 隆佑
上銘不動産鑑定士事務所 代表

こんにちは。不動産鑑定士「上銘(じょうめい)です。

秋の気配とともに発表された、令和7年度の「福岡県地価調査(基準地価)」

私たち専門家が注目していたエリアの一つが、ここ「筑紫野市」です。

昨年までは、福岡市や春日市からの波及効果で「えっ、こんなに上がるの?」と驚くような上昇を見せていました。しかし、今年のデータを見ると、その熱狂的なムードから一転して、地に足のついた「安定期」に入ったことがはっきりと読み取れます。

「もう価格のピークは過ぎたの?」
「これから家を買うなら、少し待ったほうがいい?」

そんな疑問をお持ちの方に向けて、最新データを基にした筑紫野市の不動産市場の「今」を、分かりやすく紐解いていきたいと思います。

目次

急ブレーキ? いえ、「適正な巡航速度」に戻りました

まずは全体の数字を見てみましょう。ここが一番のポイントです。
筑紫野市の今年の地価変動率は、昨年と比べると大きな変化がありました。

  • 住宅地:平均 +2.7% (前年は +8.0%)
  • 商業地:平均 +9.1% (前年は +14.4%)

ご覧ください、この住宅地の数字の変化を。
昨年は「+8.0%」という驚異的な伸びでしたが、今年は「+2.7%」まで上昇幅が縮小しています。

これを「急ブレーキがかかった」とネガティブに捉える必要はありません。
むしろ、これまでの上がり方が少し急すぎたと言えるでしょう。価格が高騰しすぎて、実際に家を買いたい人たちがついてこれなくなっていた状況から、ようやく「市場が冷静さを取り戻した」と見るのが正解です。

商業地についても同様で、依然として9%を超える高い上昇率を維持していますが、過熱感は少し和らいでいます。

住宅地の真実:価格が「天井」にタッチした可能性

では、なぜ住宅地の上昇率がここまで落ち着いたのでしょうか。
調査結果の分析によると、理由はシンプルです。「価格水準が、需要の上限に近づいているから」です。

これ以上土地の値段が上がると、一般的なご家庭の予算(年収倍率など)では、マイホームを購入することが難しくなってしまいます。

買い手がつかなければ、当然、価格の上昇は止まります。

まさに今、筑紫野市の住宅地は、その「価格の天井」に触れた状態と言えるでしょう。

現場でよく見かけるのが、「小規模な建売分譲」です。


土地の単価が高いため、広い敷地のままでは総額が高くなりすぎて売れません。

そこで、敷地を小さく区切って、なんとか手の届く価格帯で販売しようとする動きが目立っています。
不動産業者様も、「どうすれば買っていただける価格に収められるか」と、試行錯誤されている様子がうかがえます。

商業地の真実:駅周辺は「マンション用地」として依然人気

一方で、商業地は+9.1%と、依然として力強い動きを見せています。
この原動力となっているのは、やはり「西鉄二日市駅」「朝倉街道駅」といった主要駅周辺のポテンシャルです。

これらのエリアは、商業地としてお店が賑わう場所であると同時に、「マンション用地」としても極めて人気が高いのが特徴です。


福岡市中心部へのアクセスが良い特急・急行停車駅の周辺では、マンションデベロッパーによる用地取得の動きが活発で、これが地価を強く下支えしています。

「便利な場所に住みたい」というニーズは底堅く、駅に近いエリアに関しては、今後も資産価値が大きく崩れることは考えにくいでしょう。

不動産鑑定士・上銘が考える「これからの筑紫野市」

さて、この「安定期」に入った筑紫野市で、私たちはどう動くべきでしょうか。

これからは、エリアによる「温度差」がはっきりしてくるはずです。


西鉄二日市駅や朝倉街道駅、JR二日市駅などの「駅徒歩圏」は、マンション需要に支えられて価格が維持されるでしょう。

しかし、駅から離れた住宅団地などは、これ以上の価格上昇は見込みにくいかもしれません。むしろ、じっくりと物件を選べる「買い手市場」に近づいていく可能性があります。

売却をご検討の方へ
もし、駅から距離があるエリアに土地をお持ちなら、「もう少し待てばまた上がるかも?」という期待は禁物かもしれません。上昇トレンドが落ち着いた今こそ、「売り時」を逃さない冷静な判断が求められます。

購入をご検討の方へ
昨年のように「今日決めないと、明日には売れてしまうかも!」というような焦燥感を持つ必要はなくなりました。


ご自身の予算と照らし合わせながら、新築だけでなく、リノベーション前提の中古物件なども含めて、落ち着いて比較検討できる良い時期に入ったと言えます。

不動産は、上がる時もあれば、踊り場を迎える時もあります。
筑紫野市は今、過熱したブームを終えて、住みよい街としての「実力値」が試されるフェーズに入りました。

「自分の土地は、駅近エリアの恩恵を受けられる場所なのかな?」
「実家の評価額、今はどれくらいだろう?」

そんな疑問が浮かんだら、どうぞお気軽に私、上銘までお声がけください。
データだけでは見えない街の微細な変化を読み解き、あなたの不動産戦略をしっかりとサポートさせていただきます。


以上です。お読みいただき、ありがとうございました。
不動産鑑定士 上銘 隆佑

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