【体験談】不動産鑑定士に合格するまでのリアルな話②│科目ごとの対策と勉強時間の配分について。

不動産鑑定士の写真

【執筆・監修】不動産鑑定士 上銘 隆佑
上銘不動産鑑定士事務所 代表

この記事は下記の後半部分となります。

目次

不動産鑑定士試験の勉強方法について

試験内容は短答式と論文式に分かれています。
基本的には予備校で言われていることを、きっちり出来ていれば合格できます。

簡単に私の勉強方法を書きますので、一つの参考としてみてください。

  • 短答式
    • 行政法規
      過去問10年分を2~3周すれば合格ラインの7割以上を取れる水準に達しました。宅建を持っていなかったので、私はかなり苦戦しました。都市計画法や建築基準法など、重要な法律まわりをしっかり頭に入れることを意識しました。TACの講義は参考程度にして、過去問に時間を掛けていました。結果的に、短答対策としては鑑定理論より時間を掛けています。
    • 鑑定理論
      論文式の対策で、鑑定評価基準の暗記を進めていたので、あまり苦戦せず。ただ、短答特有の問題や個数回答もあるので、過去問は1周しました。
  • 論文式
    • 民法
      非常に苦戦したので、TACの講義を2周ほど聞いています。回答が問題提起+論証例という独特な流れになるので、答練もしっかり回答&復習をしました。論文式試験の初日の最初の科目なので、出来が悪いと凹みます。対策が必要です。
    • 経済
      重要なグラフがいくつかあるので、TACの講義を見て何度も書きました。過去問も一応解きましたが、答練重視で問題ありません。基本的な問題を落とさないことが大事です。
    • 会計
      暗記が必要な定義が多く出てくるので、答練重視で対応しました。試験直前に定義の一覧を見て、試験に臨みました。会計も基本的な問題を落とさず、平均点少し上を目標にするのがおすすめです。
    • 鑑定理論
      鑑定評価基準を暗記していれば、書きたいことが多くて時間が足りなくなります。過去問や答練で書く順番や項目を整理して試験に臨めばOKです。安定した得点源となる科目です。
    • 鑑定理論(演習)
      電卓の扱いになれること、そのためには過去問を何度も解くことが求められます。答練の問題も復習程度に活用しました。
短答式の勉強時間
論文式試験の勉強時間

鑑定評価基準の暗記については、各々のやりやすい方法で良いと思います。試験当日に文言が書けるようになっていればOKです。私は基準に色を出来るだけ付けずに、シンプルで覚えていました。「●●とは、」は定義なので、優先的に覚えていました。定義が書けるだけで答練で点数を取りやすくなります。

正常価格、鑑定評価基準
正常価格のページ(実物)
開発法、鑑定評価基準
開発法のページ(実物)

私の勉強方法は目新しさはなくて、ほぼ予備校でよく言われていることです。
時間を確保して、上記に取り組むことが出来れば、誰でも合格のチャンスはあると思います。

結果としては、2016年の短答式試験、論文式試験に合格しました。合格順位は70位前後でした。
勉強時間は約2年(兼業)、予備校の費用は約60~70万円(2年分)です。

受験生に伝えたいこと(勉強・仕事・開業について)


不動産鑑定士を目指すとなると、考えることがとても多いですよね。

勉強のことはもちろん、もし合格しても仕事に馴染めるのか、自分に向いているのか、さらには地元に戻ったときに開業できるのか——いろいろと不安になると思います。

不動産鑑定士の仕事はどこでもある

ただ、実際のところ 「不動産鑑定士の仕事は、どこの地元に行ってもある」 と思います。もちろん、地域によって市場規模の違いはありますが、役場からもまったく仕事がないということはありません。

仕事の向き・不向きについては、正直やってみないとわからない部分が大きいです。

でも、不動産鑑定の仕事は、ずっとデスクワークというわけでもなく、ずっと外回りというわけでもなく、バランスの良い仕事です。だからこそ、まずは 「一旦、勉強に専念して合格すること」 を目標にしてほしいですね。

もし試験に受かって、「この仕事、自分には向いてないな」と思ったとしても、それから転職すればOKです。
不動産鑑定士としての登録があるだけで、他の業界でも「面白い経歴の人だね」と思ってもらえることが多いので、人生にとって絶対プラスになります。

だからこそ、まずは 「合格を目指して勉強を頑張る」 ことをおすすめします。

不動産鑑定士の開業について│諸先輩方に聞いてみたら教えてくれます。

また、「地元で仕事があるのか」について不安な人は、実際に地元の不動産鑑定事務所に電話やメール、SNS(Xなど)を使って軽く聞いてみるのも良い方法です。

例えば、「地元に何人くらいの鑑定士がいるのか」「事務所の数はどのくらいか」「業者の数は増えているのか減っているのか」など、リアルな情報を得ることができます。

福岡でも、そういう形で実際に動いている方が結構います。聞いた話では、福岡出身の方が、たまたま地元の事務所をホームページで見つけて問い合わせをし、そのまま話を聞いたついでにアルバイトを始めたり、事務職として入社したりするケースもあります。

不動産鑑定士の世界は意外とオープンで、情報を求めれば優しく対応してもらえることも多い環境です。だからこそ、気になることがあれば積極的に動いてみるのも一つの手です。


長文となりましたが、ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
受験生の皆さんの合格、そしてその後の不動産鑑定士としての活動が上手くいくよう応援しています。

合格報告は大歓迎ですので、メール(info@jkantei-office.com)またはお問い合わせからお待ちしています!


以上です。お読みいただき、ありがとうございました。
不動産鑑定士 上銘 隆佑

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