
親族間で不動産売買をする際、取引価格の設定に悩まれる方がいらっしゃいます。
固定資産税評価額をそのまま価格にするケースも見受けられますが、実際の市場価格(時価)とは大きく異なる場合があります。
今回は受任案件で実際にあった、「賃貸アパートを譲渡」する事例を例にご紹介します。
※ 守秘義務のため、大枠のみとなります。
なぜ差異が生じるのか、鑑定評価の視点から解説します。

1. 固定資産税評価額と時価のギャップの正体
土地の固定資産税評価額は公示地価の約70%を目安に設定されており、建物は再建築価格から経過年数を減価して算出されます。
しかし、賃貸アパートの時価評価においては、これら形式的な数値よりも「収益性」が重要です。
形式的な評価額だけでは、物件本来の経済的価値を反映しきれないことが多々あります。
2. 鑑定評価で重視するポイント
収益物件の適正な時価を導き出すため、弊社では以下の要素を精緻に分析します。
容積消化と市場性
土地に対してどれだけ効率的に容積を消化しているかは、価格に直結します。
→土地価格は、「容積完全消化」を前提に取引されているから、です。
現在の容積消化状況はもちろん、将来的な建替え可能性まで踏まえて土地価格の評価を行います。
建物グレードと市場競争力
同じ築年数でも、構造、外装、設備などの建物グレードによって入居者の質や賃料単価は大きく変わります。
この「グレードによる賃料差」を市場実態に合わせて数値化することが、適正価格の算出には不可欠です。
また、現在の経済情勢は物価上昇局面にあり、家賃も上昇していくことが予想されます。
収益価格の評価では、今後数年の家賃上昇をも考慮して、鑑定評価を行います。
3. 建物価格は慎重に査定
昨今の「建築費高騰」が中古物件の価格に大きな影響を与えています。
建築単価の上昇は新築賃料を押し上げ、相対的に中古物件の価値も見直される傾向にあります。
市場環境の変化を無視して過去の固定資産税評価額を基準に価格を決定すると、時価との乖離が広がり、税務調査で否認されるリスクが高まります。
弊社の不動産鑑定では、固定資産税評価額とあわせて、国土交通省が公表する「建築費デフレーター」を活用して、建築費高騰の影響を精緻に反映しています。
4. 納得感のある時価譲渡のために
親族間売買において重要なのは、税務当局に対しても論理的に説明できる「時価」を算出することです。
弊社では、以下の手順で安心できる取引をサポートします。
- 市場賃料と実勢賃料の乖離を分析
- 建築費高騰を加味した再調達価格の考慮
- 個別的な減価・加価要因の数値化
専門的な鑑定評価書は、税務申告の防波堤となるだけでなく、親族間の公平性を担保する重要な根拠となります。
まとめ
賃貸アパートの親族間売買には、収益不動産としての適正価格を見極める専門的な判断が求められます。
固定資産税評価額と時価のズレは、建物の規模やグレード、現在の市場環境を反映した結果です。
「親族間で売買を検討しているが、妥当な価格が知りたい」「税務署に説明可能な評価書が欲しい」という方は、お気軽に弊社までご相談ください。
評価額の机上概算は無料で行っております。
以上です。お読みいただき、ありがとうございました。
この記事の執筆者

不動産鑑定士 上銘 隆佑
Ryusuke Joumei
上銘不動産鑑定士事務所 代表。
大和不動産鑑定株式会社 東京本社に2014年に入社後、2019年に不動産鑑定士登録(第10401号)。国内系不動産アセットマネジメント会社への出向を経て、大和不動産鑑定株式会社九州支社へ赴任。2024年に同社を退職し、上銘不動産鑑定士事務所を開所。
適正家賃、関係者間売買、証券化対象不動産、銀行の担保不動産、公有地の売買に係る不動産鑑定評価を中心に、不動産鑑定評価に携わる。
不動産鑑定業 福岡県知事 第(1)-347号
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