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【立退料まとめ】立退料の算出根拠と移転補償の具体的な内容をご紹介。~受任案件から学んだ査定が難しい項目は~

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【執筆・監修】
不動産鑑定士 上銘 隆佑
上銘不動産鑑定士事務所 代表

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【執筆・監修】
不動産鑑定士 上銘 隆佑
上銘不動産鑑定士事務所 代表

こんにちは、不動産鑑定士の上銘です。

福岡市をはじめとする都市部では、再開発や老朽化建物の建替えに伴い、立ち退きに関するご相談を受けることが増えました。

立ち退き交渉を進めるうえで、トラブルとなりやすいのが「立退料の金額とその根拠」です。

弊社では、国土交通省の「公共用地取得に伴う損失補償基準」や「不動産鑑定評価基準」の評価理論をベースに、移転によって生じる移転補償料を積み上げて算定します。

相場観として、「家賃の〇ヶ月分」と把握されている方も多いですが、裁判例を見ると個別案件ごとに立退料の水準が大きく異なっているため、注意が必要です。

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目次

立退料の算出根拠と移転補償の具体的内容をご紹介

今回は、立退料を構成する具体的な5つの補償項目について、その算出根拠と実務での内容を書いていきます。

① 借家人補償

「借家人補償」は、立ち退きによって現在の借りている権利(借家権)を失うことに対する対価、および移転によって発生する住居・店舗の確保に伴う経済的負担を補償するものです。

具体的な内容と算出根拠

・差額家賃補償
移転先で同等の物件を借りる際、現在の家賃よりも高くなることが一般的です。この新旧賃料の差額について、一定期間(実務上は1年〜2年など定められた期間)の負担分を補償します。
現在の賃料が周辺の相場賃料(正常賃料)よりも著しく安い場合、借主は「相場より安く借りられている」という経済的利益を得ています。立ち退きによってこの利益が失われるため、その差額を考慮しています。

② 工作物補償

「工作物補償」とは、借主が自ら費用を出して設置した内装、造作、設備、看板などのうち、立ち退きに伴って移転先に持ち出せないものや、取り外すことで価値が失われるものに対する補償です。

具体的な内容と算出根拠

・工作物の補償(造作買取・残存価値)
店舗の間仕切り壁、床材、天井仕上げ、据え付け型の厨房機器、給排水設備などは、別の場所へ移設することが技術的・経済的に不可能です。これらについては、設置時の建築費・取得費から経過年数に応じた経年減価を行い、現在価値を客観的に導き出して補償します。
・移転可能工作物の取外・再設置費
移転先でもそのまま再利用できる特殊な看板や照明器具などについては、現地の取外費用、運搬費用、および移転先での据付工事費用を補償対象とします。 特に飲食事業や医療機関などの店舗案件では、この工作物補償の金額が膨らむ傾向にあります。

③ 営業休止補償

「営業休止補償」は、事業用店舗やオフィスが立ち退きのために一時的に休業したり、移転に伴って営業規模を縮小・変更せざるを得ない場合に生じる営業上の損失を補償するものです。

立退料全体の金額を大きく左右する項目のひとつです。

具体的な内容と算出根拠

・休業期間中の売上・利益の損失補償
移転作業や内装工事のために営業を休止せざるを得ない期間(通常数ヶ月)に、得られるはずだった営業利益等の減少分を補償します。過去数期分の確定申告書や決算書を精査し、1日当たりの平均利益をベースに算出します。


・収益がなくても発生する固定的経費の補償
休業期間中であっても、従業員の解雇を防ぐための休業手当(人件費)、仮店舗の地代家賃、減価償却費、公租公課などの固定的経費は発生し続けます。これら休業中の経費を全額補償します。


・得意先喪失補償(顧客離れのリスク)
同じエリア内で移転できたとしても、一時的な休業や立地の微小な変化により、一定数の既存顧客が離れてしまうリスクが存在します。
過去の移転実績や業界標準の指標を用い、一定の割合で顧客減による営業損失を織り込んで補償します。

④ 動産移転料補償

「動産移転料補償」とは、現在使用している家具、家電、事務機器、商品在庫、什器などの「動産」を、新しい移転先へ運び出すために必要なすべての費用を補償する項目です。

一般的にイメージされる「引越し費用」に該当します。

具体的な内容と算出根拠

・搬出・運送・搬入費用
専門の引越し業者や運送業者による荷造り(梱包)、トラック運賃、積み下ろし、搬入・開梱にかかる人件費および実費を計上します。

・商品在庫の減損・移動費用
移転に伴い一時的に在庫を保管倉庫へ移動・保管する費用や、移動の過程で発生する商品・在庫の破損・傷み(小減損)に対する補償も対象となります。

⑤ 移転補償雑費

「移転補償雑費」は、上記の①〜④の主要項目には直接分類されないものの、立ち退きと移転に伴って発生する様々な諸費用・雑費を補償するものです。

具体的な内容と算出根拠

・移転先選定活動費
新しい住居や代替店舗を探すために支出した、現地調査の交通費、通信費、情報収集費用などの実費相当額。

・通知・広報費用
移転に伴い、既存顧客や取引先へ送付する案内状などの印刷・郵送費用、WEBサイトや看板の修正改修費用、新店舗のオープンを知らせる新聞折込チラシなどの広告宣伝費用。

・各種法令上の手続費用
移転に伴う法人登記の住所変更手続きのための司法書士報酬、保健所・警察署・消防署等への営業許可の再申請・届出手数料。

まとめ:説得力のある立退料の算定には客観的な根拠が不可欠

立ち退きにおけるトラブルは、「提示額が安すぎる」という借主側の不満や、「なぜこれほど高額になるのか分からない」という貸主側の不信感から生じることが多いです。

今回ご紹介した5つの項目(①借家人補償、②工作物補償、③営業休止補償、④動産移転料補償、⑤移転補償雑費)をベースに算出根拠を提示することができれば、双方にとって一定の納得感があると考えます。

当事務所では、不動産鑑定士としての評価理論と、国土交通省の「公共用地取得に伴う損失補償基準」などに則り、誠実かつ適正な立退料の算定書作成を行っております。

弁護士さんと一緒に、立退料算定の面からお手伝いをさせていただいた実績もございます。

「提示された立退料の妥当性を確認したい」「円滑な建て替えのために客観的な算定根拠を用意したい」という貸主・借主さんは、お気軽に上銘不動産鑑定士事務所までご相談ください。

上銘不動産鑑定士事務所
不動産鑑定を専門としており、立退料や適正賃料の算定などの評価実績がございます。


以上です。お読みいただき、ありがとうございました。

この記事の執筆者

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不動産鑑定士 上銘 隆佑
Ryusuke Joumei

上銘不動産鑑定士事務所 代表。
大和不動産鑑定株式会社 東京本社に2014年に入社後、2019年に不動産鑑定士登録(第10401号)。国内系不動産アセットマネジメント会社への出向を経て、大和不動産鑑定株式会社九州支社へ赴任。2024年に同社を退職し、上銘不動産鑑定士事務所を開所。
適正家賃、関係者間売買、証券化対象不動産、銀行の担保不動産、公有地の売買に係る不動産鑑定評価を中心に、不動産鑑定評価に携わる。
不動産鑑定業 福岡県知事 第(1)-347号

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