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【令和7年度 地価調査】依然として上昇続く「春日市」。その実情と今後の展望を、不動産鑑定士・上銘が丁寧に解説します


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【執筆・監修】不動産鑑定士 上銘 隆佑
上銘不動産鑑定士事務所 代表

こんにちは。不動産鑑定士の上銘(じょうめい)です。

朝夕は涼やかな風を感じる季節となりましたね。

不動産業界において、秋といえば「都道府県地価調査(基準地価)」の発表シーズンです。私たち鑑定士にとっては、いわば「街の体温計」のようなもの。数字を見るだけで、その街が今どのような状態にあるのか、手に取るように分かる大切な指標です。

今回取り上げるのは、福岡県内でも屈指の人気を誇るベッドタウン、「春日市」です。

「春日市に家を持ちたいけれど、価格が高騰していて不安」
「これから先、不動産価格はどうなっていくの?」

そんなお声を、お客様からよく頂戴します。
確かにここ数年の春日市は、目を見張るような上昇が続いていました。しかし、先日発表された「令和7年度」のデータ紐解くと、これまでとは少し異なる「変化の兆し」が見えてきたのです。

本日は、最新データを基に、春日市の不動産市場の「今」と「これから」について、専門家の視点から分かりやすくお話ししていきたいと思います。
どうぞ、リラックスして最後までお付き合いください。


目次

まずは結論から。春日市の地価は今、どうなっている?

さて、まずは全体の動向から見ていきましょう。
結論から申し上げますと、今年の春日市の地価は「上昇傾向は続いているものの、その勢いは少し落ち着きを見せ始めた」というのが正直なところです。

福岡県から発表されたデータ(変動率)は以下の通りです。

  • 住宅地:平均 +4.6% (前年は +5.6%)
  • 商業地:平均 +7.4% (前年は +8.3%)

ご覧の通り、依然としてプラス成長を維持しています。
これだけの金利上昇局面や物価高の中にあっても、住宅地で4%超、商業地で7%超の上昇というのは、県内でも非常に力強い数字と言えます。

ただ、前年と比較すると上昇の幅(伸び率)はやや縮小しました。

これは「人気がなくなった」のではありません。「価格が上昇しすぎて、市場全体が少し様子見のムードに入ってきた」と捉えるのが、私たち専門家の見立てです。

では、なぜそのような変化が起きているのか。住宅地と商業地、それぞれの事情を少し詳しく見ていきましょう。


住宅地の実情:「個人での土地購入」が難しくなっている背景

住宅地の変動率は+4.6%でした。
この数字の裏には、春日市ならではの「需給バランスの変化」が隠されています。

プロが価格を牽引する市場へ

今回の調査結果で特に気になったのが、「ディベロッパー(不動産開発業者)が価格の主導権を握っている」という点です。

今の春日市の土地価格は、私たち個人が「ここにマイホームを建てたい」と考えて購入できる金額の水準を超えつつあります。
資金力のある建売業者様やマンションデベロッパー様が、事業用地として高値で土地を仕入れていくため、相場全体が押し上げられているのです。

「ミニ開発」に見る工夫と限界

その結果、増えているのが「ミニ開発」と呼ばれる動きです。

土地の単価が高騰しているため、一区画あたりの面積を小さく区切ることで、なんとか販売総額を一般的なご家庭の手が届く範囲(それでも4,000万円台〜が主流ですが)に抑えようとしているわけですね。

しかし、それでも新築価格は高止まりしています。


「新築にはなかなか手が届かない…」と感じる方が増え、最近では「中古住宅」へ需要がシフトしている傾向が顕著です。

土地価格そのものは業者の買い入れによって上昇していますが、一般の方の実需は少し慎重になっている。そんな「ねじれ」のような現象が起きているのが、今の春日市の特徴と言えるでしょう。


商業地の実情:「西鉄春日原駅」周辺の変貌と期待

続いて、商業地です。変動率は+7.4%と、こちらはさらに高い水準を維持しています。


この力強さを支えているのは、間違いなく「西鉄天神大牟田線の連続立体交差事業(高架化)」による街の進化です。

「住む」と「商う」が競合する人気エリア

特に特急停車駅となった「西鉄春日原駅」周辺のポテンシャルには、目を見張るものがあります。


駅周辺が整備され、利便性が向上したことで、店舗を出店したいというニーズだけでなく、「ここにマンションを建てたい」というデベロッパーからのニーズも非常に高まっているのです。

商業地でありながら、マンション用地としての需要とも競合することで、土地の争奪戦が起き、価格が押し上げられています。
「高くても、この場所が欲しい」と選ばれるエリアであることは間違いありません。

郊外ロードサイドの底堅さ

一方で、駅から少し離れた幹線道路沿いはどうでしょうか。


昨今の物価高の影響で、消費者の皆様のお財布の紐も固くなりがちです。一部では店舗の入れ替わりも見受けられますが、それでも空きテナントが出ればすぐに次のお店が決まるなど、底堅い動きを見せています。

春日市は人口密度が高く、商圏としての魅力が十分にあります。
「人が集まる場所」としての価値は、今後も大きく崩れることはないでしょう。


不動産鑑定士・上銘が考える「これからの春日市」

ここまで現状を整理してきましたが、皆さまが一番気になるのは「これからはどうなるの?」という点かと思います。
私、上銘の視点では、今後の春日市は「エリアによる二極化」が進んでいくと考えています。

「立地」の選別がよりシビアに

まず、西鉄春日原駅やJR春日駅周辺のような「交通利便性が高いエリア」。
ここは今後も堅調に推移するでしょう。資産価値としての安定感は抜群です。

一方で、駅から距離があるバス便エリアなどは、少し注意が必要です。


建築費の高騰に加え、金利上昇の懸念もある中で、一次取得者層(初めて家を買う方々)のご予算には限りがあります。「価格がこれ以上上がると、買い手がついてこられない」という天井感が出てくる可能性があります。

売却・購入をご検討の方へ

もし、春日市内に土地をお持ちでご売却を検討されているなら、今は「非常に良いタイミング」と言えるかもしれません。

市場が過熱しきったこのタイミングを逃すと、今後の金利動向次第では、少し時間がかかるケースも出てくるでしょう。

逆に、購入をご検討されている方へ。

無理をして新築を追うのも一つの選択ですが、地盤や環境の良い春日市だからこそ、「中古物件を購入してリノベーションする」という選択肢も、ぜひ視野に入れてみてください。

良質なコミュニティや住環境は、建物が新しくなくても手に入りますから。


最後に

本日は、令和7年度の地価調査から見る春日市の動向についてお話しさせていただきました。

不動産価格というのは、単なる数字の上がり下がりではありません。
そこには、街の変化や、人々の暮らし、そして経済の動きがすべて詰まっています。

「勢いは少し落ち着いたけれど、依然として価値ある街」
それが、今の春日市の姿です。

所有している不動産の適正な価値を知りたい
相続対策として、今のうちに評価を出しておきたい
賃貸に出している不動産について、適正家賃を知りたい

そのようなお悩みがございましたら、どうぞお気軽に私、上銘(じょうめい)までご相談ください。

公示価格などの平均値だけでは分からない、「あなたの大切な不動産だけの価値」を、プロの視点で丁寧に鑑定させていただきます。

皆様の不動産に関するお悩みが、少しでも晴れるお手伝いができれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。



以上です。お読みいただき、ありがとうございました。
不動産鑑定士 上銘 隆佑

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